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高柳 敏幸
Journal of Physical Chemistry A, 106(19), p.4914 - 4921, 2002/05
被引用回数:19 パーセンタイル:51.36(Chemistry, Physical)O(D)+N(X)O(P)+N(X)スピン禁制衝突について量子散乱計算を行った。一重項及び三重項についてそれぞれ一枚のポテンシャル面に簡略化した。標準的な堅密結合法により、電子的非断熱消光確率及び消光断面積を計算した。ポテンシャル面及びスピン軌道相互作用については過去にほかの研究者によって作製されたものを用いた。堅密結合の計算結果は、電子的非断熱過程が量子力学的な共鳴状態を経由して起こることを示した。このことは、これまで提唱されてきたポテンシャル交差モデルが、この非断熱過程には使えないことを示している。また、堅密結合の結果を半古典的ホッピングトラジェクトリー近似法による計算結果とも比較し、この近似が不十分であることも示した。
高柳 敏幸; 和田 晃
Chemical Physics, 277(3), p.313 - 323, 2002/04
被引用回数:6 パーセンタイル:17.74(Chemistry, Physical)擬連続近似を使った3次元量子堅密結合法をHe+HHe+H+H衝突誘起解離反応に適用した。この研究の大きな目的は、反応の解離極限よりわずかに高いエネルギー領域で、共鳴を経由した2体衝突と共鳴を経由しない3体衝突のどちらが主体かを理論的に確かめることである。実際の計算は全角運動量がゼロの場合のみについて行ったが、われわれは、水素分子の回転量子数が小さい場合には、共鳴を経由しない3体衝突が支配的であり、共鳴を経由する2体衝突過程は、回転量子数が大きい場合のみに重要になることを見出した。さらに、衝突誘起解離が起こる確率は、主に水素分子の振動回転エネルギー準位と、解離極限のエネルギー差でほとんど決まることを見出した。このことは、衝突誘起解離過程は、簡単なエネルギー移動過程であることを意味するものである。並進運動を古典的に扱い、水素分子の振動回転運動を量子的に取り扱う半古典近似と今回の計算結果を比較したところ、解離確率の小さなエネルギー領域では、半古典論が全く機能しないことも確かめられた。